日本の故郷の風景
香川県の現場からの帰路、阿讃の山を越える前に美しい農村の風景を見て、立ち止まる。高速道路を使わない時に出会う楽しいひと時である。
明治期に来日した外国人が日本人のすまいや風景に感嘆しているのを持ち出さなくても、かつての日本は、どこに行っても、とても美しい風景や景観をつくっていたのではないかと、想像を掻き立てられる。
小高い丘にある先祖の墓が農地や家を見守っている。
地域の美しい景観に、多くの困難をかかえつつも、その土地で人々が必死で生きた証が見て取れる。人の暮らしが自然の恵みの中で美しいバランスをつくっている。
これから問わなければならない豊かさの課題がある。
帰宅後、高齢になった親が剥いた渋柿をつるす。干し柿は和菓子の起源だそうで、うまく干せた柿はとても美味しく、白い粉がふいたものは格別である。干し柿の風景は、里山の地で今なお見受ける。
来年は竹を切り、もっと美しい風景になるように干してみよう。