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大学二年の息子が、地球儀を抱いて寝ろとTV番組の報道特集で言っていた安藤忠雄氏の事務所に、今夏訓練生としてお世話になった。
厳しく温かい励ましを学生たちは頂いていた。その後夏休みを精一杯使うかのように、祖父や親戚に会うことを兼ねて、一人でインド建築巡りに旅立った。

79年から86年までインドに滞在した時代は、日本へ電話1本かけるのも大変だったことを思い出す。
今はホテル、飛行機、列車の予約は日本からインターネットでできるし、旅行中も気軽にインドからスカイプ等で、長時間コミュニケーションができる。グローバル経済と、これまでの時と場所の概念を覆す程のデジタル時代に入っていることを実感する。

私たちの第二の故郷は沖縄とアフマダーバードである。そのアフマダーバードに彼は一番長く滞在し、80歳後半でなお旺盛に活動されている師の建築家ドーシ氏や画家サグラ氏、そしてダルワディさんや次世代の友人たちにお世話になった。

アフマダーバードは15世紀初頭、インド・イスラーム都市として建設され、往時は美しい都市の一つとして知れわたり、イギリス植民地時代には紡績業が発展した。
搾取されつくされていたインドから、ガンディーの独立への闘いは、この地が活動拠点となる。

独立後の国づくりの中で、1950年代に20世紀の現代建築巨匠ル・コルビュジェの四作品が、60年代にはル・コルビュジェに続く巨匠ルイス・カーンが設計するインド経営大学が、この地に実現する。巨匠たちは、西洋と異なるインドの歴史的遺産や風土から大きな影響を受け、これらの作品は20世紀後半の代表作品になった。この巨匠たちと仕事をしたドーシ氏を中心にこの地で拓いた建築教育と研究の場が、インド建築教育の先導的な場となり、以来インド国内はもとより、世界各地から専門家や学生達が集まっている。

大きな矛盾をはらみながらグローバル化の中で、インドが大きく動いていることに連動するかのように、友人たちは第一線で仕事をしているようだ。

いつも温かく迎えてくださる先輩の方々に写真家ダルワディさんと奥さんの医学者レディウムさんご夫婦がいる。レディウムさんは、私がインドにいた80年代、アジアから日本で初めて徳島大学医学部の助教授として徳島に赴任され、自宅にも来てくださった。2001年インド西部で起こった大地震に、徳島の友人達が集めた義援金は、レディウムさんが活動している経済的に豊かでないカッチ地方の災害支援に充てられた。レディウムさんはエイズ問題に長年現場で精力的に取り組まれてきた。三年前に亡くなられたのが悔やまれる。

人のつながり、縁は不思議なものである。次の世代へと日印関係の理解と交流に微力ながら頑張れればと思う。
息子が送ってきた写真を、二十歳の若者が感じた目線で、まず見てみたい。

インド経営大学の入口。左は図書館、右は研究棟、上がると大きな広場に出会う。



ジャイナ教の聖地シャトルンジャヤ山、山岳神殿都市へ登る。
ドーシ氏の事務所の若者達に誘ってもらい、みんなで深夜にアフマダーバードを出る。
パリターナに着くなり、午前五時半から登ったそうだ。
寺院に着くと見たことのないすごさとスケールを感じたと思うが、あまりにも日常の感覚から 離れた違和感のある空間体験だっただろう。

装飾過多に映り、ジャイナ教寺院をどう捉えたらよいのか、わからなかったらしい。


巡礼への道中から見た朝の大地


師サグラ氏の彫刻。サグラさんのアトリエで


アフマダーバード旧市街のバドラー城塞



赤砂岩のアーグラ城塞。自然の中の純粋形態に魅かれているようだ。


バンガロール郊外。叔父さんの家がある新しい住区のビオトープと日没の風景

その環境の大きさに驚いていた。



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