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アイゼンマン講演会、時の歩みと都市の魅力
ヨシハラ・マッキーご夫妻に会ってから、春休み、ピーター・アイゼンマン氏の講演を大阪市中ノ島の中央公会堂へ聴きに行ったことを思い出した。
学生時代の1970年代後半には、アイゼンマン氏は建築専門誌に載る著名な合衆国の建築家だったが、今も旺盛な創作力を発揮し、時代に投じる複雑でランドスケープ的な建築を展開されていた。
考えてみると、私たちの師である建築家B.V.ドーシ氏は1927年生まれで、なお影響を与え続けるインド第一線の建築家であるし、日本にも高齢とは関係がないぐらい活躍されている建築家がいらっしゃる。年齢とは無縁の若さがある。
理論家でもあるアイゼンマン氏は、PROJECTとPRACTICEの概念を説明した。プロジェクトとは、どのように世界を定義づけるかということであり、実践は世界との関係で建築家自身がどう見つめているのか問うものであると語った。
何が建築なのかという問いには、「つながりがなかったことをつなげていき、関係性を維持すること。場所や時間を理解し、伝統に基づくだけではなく、変容をしていく。伝統のコピーではなく、根本にある考え方を理解することである。」と応えたのが印象に残る。
講演に先立って、中ノ島周辺の近代建築遺産を見て廻った。高層ビルの間に戦前、戦後の遺産が混じり生かされる街の風景は、温かさと時間の厚みを感じる。現代都市に奥行きのある魅力を醸し出していた。
大正13年竣工の大正モダン様式の表情をもつ船場ビルディングに入ると、小さなアトリエや事務所で囲まれた素敵な路地的中庭空間に迎えられた。
昭和27年に竣工した村野藤吾設計によるフジカワギャラリーは、日本では初のガラスブロックのカーテンウォールでまとい戦後モダンの先鋒であり、今なお上質の落ち着いた雰囲気をつくっていた。