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植林と森の恵み
今春、TSウッドハウス協同組合の植林ツアーに次男と参加しました。
木頭の山に登り、杉やミツマタの苗を植えました。
鹿が異常繁殖し、苗を植えてもすぐに食べられてしまい、林業従事者はとても頭を抱えていました。剣山周辺の笹は食べつくされるなど、山の生態系が変わり、環境を危惧する事態を招いているようです。
苦肉の策として、鹿が食べないという1万円紙幣の原料となるミツマタを、植えました。
伐採後、枝葉をつけて3ヶ月間山に寝かし葉枯らし乾燥をしている大木の杉と、間伐をしている森を見学しました。
倒されたこの杉は巨岩を抱き込んで、根を張っていました。大地に踏ん張る樹木の生命力の強さに圧倒されます。
木材は那賀川河口近くのストックヤードに運ばれ、更に3ヶ月以上の桟積み乾燥が行われます。
急激に水分を抜く人工乾燥に比べ、天然乾燥した杉は、木のもついい成分や香りを失わせず、長持ちして、本来の色、粘りやつやを残すことができます。リラクゼーション効果やかぜなどに対する免疫力をもたせてくれます。
市場では早くて安価にするために、ほとんどが人工乾燥材になっています。
一般的に言えば、延べ床面積40坪の一軒の住まいには、木材量は50㎥、70年生の杉なら50~60本必要とします。若い40年生だとその2倍の本数になるそうです。山の面積にすると、70年で1反、10アールに生長材が約60本育ちます。人工林の木材は、地こしらえ、植え付け、下刈り、除伐、間伐と、人の一生より長いプロセスを経てつくられます。
建築は大きな費用がかかりますが、原木だけを見ると大木にかかわらず価格の安さに驚きます。植林し山の維持管理ができるお金にならないのが現状です。
杉の生長が80年かかるなら、家の寿命も少なくとも80年以上存続できる住まいであれば、循環します。二酸化炭素を固定し、酸素を放出していきます。
緑をつくり、活かしていくことは、生態系や山、川、陸、海の保全、地球環境の維持につながり、さらに森林浴となるような良材を使うと、身体にとってもうれしい最大のエコになります。
木を生かし、建築に新しい命を吹き込むことを大切にしたいです。
山のきれいな水が流れているのを楽しみながら帰りました。
3月の寒い日に今年完成したお宅を訪ねました。
暖房をしていなくても快適で、天然乾燥の杉床板の上を幼子がうれしそうに歩き始めていました。
杉材の柔らかく温かい特徴を生かすと、子供や高齢者にとっても、やさしい床空間になります。