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萌芽更新と薪ストーブ ― 祖谷の旅3
落合集落では、夕方になると、あちこちで煙突から煙が上がり、風呂を焚いていた。
住まわれているお宅には薪が積まれている。
この山は、杉やヒノキの人工林だけでなく広葉樹の森が混在している。
山が手入れされ広葉樹が群生する森は、山の保全、水のかん養や新鮮な空気をつくるなど、森林の豊かな多面的機能を発揮する。
萌芽が活発な広葉樹を、切り旬時に伐採した翌年は根株からびっしりと芽が萌芽し、生育を始める。この成長を期待して森林の再生を図る方法を、萌芽更新(ぼうがこうしん)という。伐採されると、地表に太陽光が届くようになり、周囲に落下した種子から天然更新も進む。
かつて萌芽更新による森林は薪炭生産が行われ、日本の里山では普遍的に行われていた。化石燃料へとエネルギー革命が進展するまでは、祖谷のある三好や隣の美馬地方は、薪炭の主要生産地であったそうだ。
住まいの原型を探ると、火は明かりをとり、煮炊きをし、暖がとれ、住まいの中心に位置していた。
焚き火を見ると心温まるのは、私たちの遺伝子に命の維持とつながりをつくる大切な存在であることが記憶されているからだろう。
萌芽更新による森林は、再生を繰り返す永続的な資源となる。地域の暮らしの豊かな時間とエネルギーの自立性を考えると、森林の再生につながる薪や炭は見直される時代にきている。
地元の山でつくった薪を供給する。山と都市がつながる一つの方法(山から下りた貞光町で)
料理も楽しめる薪ストーブの火